みかみ介護支援センターの理念
自宅介護を目指す親族にとって、最大の問題は一人で要介護者を看ることから来るストレスや、徒労感です。かつての大家族であれば複数の家族が老人を看る事で、その人が本来持っている優しさを発揮することができました。しかし、核家族化した現代では、多くの場合、孤独な介護を強いられています。その負担を減らすために、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどのサービスがあるのですが、これまでは特別養護老人ホームなど、規模の大きな施設でしか ショートステイは行えませんでした。
そのため、私たちのような介護業者では、訪問介護しているお年寄りを別の介護サービスの運営する施設へのショートステイに送り込まざるをえませんでした。しかし、06年4月の新介護保険法により、小規模でも受け入れ態勢を整えれば、ショートステイを受け入れることができるようになりました。
いつも、訪問介護しているお宅のお年寄りを、あるときはデイサービスで、あるときは ショートステイで介護できるようになれば、お年寄りも安心ですし、介護する側も顔なじみのお年寄りの病状や個性を熟知して介護することができます。
これが可能になれば在宅介護をしている家族も安心してショートステイなどのサービスを受けることができ、負担も大幅に減らすこともできます。
お年寄りの幸福を考えたときに、私たちは在宅介護がベストであると考えます。住み慣れた我が家で最後の時を過ごせるというのは、いまやなかなか叶えられない願いではありますが、一人でも多くのお年寄りが在宅で過ごせるようにしたいと思っています。住み慣れた環境で、できるかぎりの作業をこなしていくことが、認知症の予防、進行回避、回復を助けます。家族の愛と、それだけでは補えない部分 を私たちが埋めていきます。
人は、生まれ、成長し、次世代を育て、やがて老い、死を迎えます。その中で、老いと死を隔離してしまったのが現代といえるでしょう。その老いと死を 家族とともに迎えることにより命が永遠に連鎖することを伝えることができるのです。その死に立ち会った家族に子供がいたとすれば、その子供は幸せといえるでしょう。人が最後に至ってしか発することのできないメッセージを受け取ることができるからです。老いや死を隔離した家庭で育った子供たちは命の大切さに 気がつかないまま大人になってしまいます。そんなことの連鎖が、現在のような命を軽視する社会につながっているような気がしてなりません。
私たちは、小規模多機能の地域密着型サービスを提供しながら、在宅介護を積極的に支援することで、世代間がつながっていく社会作りを目指していきます。将来的には、施設内に託児所を設置することも計画しています。暫定的にはスタッフの子供たちを預る施設ですが、地域住民の子供たちを集める場を提供できればと考えています。
お年寄りと子供が生活の場を共有することにより、お年寄りの生きがいを育て、子供たちには人生の大先 輩の知恵に触れるチャンスが生まれます。さらには、子供と老人を軸にした、地域コミュニティの活性化につながるのではないかと考えています。